全国鍍金工業組合連合会(ぜんとれん)

栗原会長 年頭所感
 「平成27年の新春を迎えて −世界一品質の誇りと自信を抱き、未来へ拓こう−」
(2015.1.5)

会長  平成27年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。

 政府は長引くデフレからの早期脱却と経済再生を図るため、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」を一体として強力に推進してまいりました。一時的には景気は回復傾向を示し、円安によって輸出品の競争力の改善など期待されましたが、1年前に比べ約2割も安くなった円レートが日本経済にマイナスの影響を及ぼしました。当業界にとって円安はデメリットとなり、大企業製造業は生産の海外移転が進み、製造コストにおいては原材料、電力代が上昇するなど、中小・零細企業の経営は大変厳しい状況が続いています。
 こうした中で、全鍍連は、電気めっき業界の事業承継を基軸とし、様々な事業を行ってまいりましたが、大きく二つの事業を推進しました。
 一つめは、昨年4月からの消費増税に伴い、消費税転嫁カルテルの共同行為に取り組みました。全組合員に対し、消費税転嫁カルテルのリーフレットと小ポスター、取引先関係者に対する要望書等を配布し、顧客対策として、「適正な価格で 適正な取引」を合い言葉に、日刊工業新聞の全国版に4回にわたり広告を掲載しました。また、消費税転嫁拒否の実態等について体制を整備するとともに、消費増税の転嫁状況について調査を行った結果、ほぼ100%、消費増税分は転嫁されていました。このことから、皆様方の商慣行においては、ある程度、スムーズな取引に寄与したものと考えております。
 二つめは、めっき技術の社会的ニーズに応えるため、めっき技術コンクールで三度、厚生労働大臣賞を受賞した企業を顕彰する制度「プレミアムアワード」を創設しました。
 このような顕彰制度は、我が国における基礎技術をより一層、高め、また、基盤産業の価値も高まり、さらに、海外から見た「日本のめっき技術」の優位性を高めるものと考えています。特に、全鍍連の事業においては、平成4年度からスタートしためっき技術コンクールの新たな価値の向上につながり、これが組合員方々の技術的向上と、その技術を作り続ける人材を育むことにもつながれば、めっき業界の活性化とともに、真の競争力につながるものと考えております。

 では平成27年以降において、全鍍連の事業運営をどのように進めていけばよいのでしょうか。21世紀に入り、わが国は国際化、急激な高度な情報化、少子高齢化、成熟化の四つの大きな潮流の影響を受けてきました。また、環境の変化の中で、組合員も減少しました。さらに、政府の中小企業政策も変わり、平成11年に中小企業基本法の改正により、中小企業政策の基本理念が「独立した中小企業の多様で活力ある成長・発展」となりました。
このような政府の政策転換、産業構造が複雑化かつグローバル化する中で、世代間での価値観の違いも顕著になっています。
 このような環境の中、ますます組合運営の舵取りが難しい状況下において、昨年かかげた全国大会のサブスローガン「世界一品質の誇りと自信、そして未来へ拓く」ためには、今一度、組合運営における原点回帰が必要と考えています。
 全鍍連は、めっき企業の地位の向上を図り、経営の安定化、各種公害規制への対応等を図るため、国や関係の諸機関に働きかけを行うとともに、会員企業に対する技術・公害防止の指導、モラルの高揚を図ってまいりました。今後、全鍍連という組合組織の存在と付加価値を高めるためには、今一度、原点回帰と基本的理念に立ち返り、次の3つの方針により、事業を推進していきたいと思います。
 一つは、夢のある業界を目指すことです。経営幹部から従業員に至るまで、電気めっき技術はやりがいと誇りある技術をもって頂くことです。このすばらしい技術によって、我が国製造業全体にとってかけがえのない役割を果たし、活力ある産業を目指し、さらに地域社会に貢献することにあります。
 二つは、次世代につなげることを目指すことです。この電気めっき業に関わる世代を担う若者や子ども達に、自信を持って電気めっき事業を継承してもらえる会社づくりを目指すことにあります。
 上記の二つは、従来の環境対策から労働・安全管理の向上を図り、この業界に携わるすべての方々が、精神的にも豊かな気持ちで働ける労働環境や安全条件が整った組織づくりが肝要であると考えます。
 三つは、地域とのつながりとの築きを目指すことです。毎年秋には、会員組合のご尽力によって5箇所でブロック会議を開催していますが、さらなる各自治体、行政等とのつながりを強化することです。すでにご高承のように、電気めっき業は「環境との共生」と謳っております。しかし、ほう素や亜鉛等は、排水暫定基準が設定されており、果たしてこれが、組合員の方々にとって、事業継続の上で、必ずしもよいことなのでしょうか。実態的には、多くの組合員が、既存の排水等の技術では様々な理由により一律基準の対応が困難です。そこで、各自治体とのパイプを強固にし、足繁く業界の状況をご理解頂き、関係組織・機関と連携して、支援・助長できるような仕組みづくりが必要と考えています。

 このように、組合員をはじめ、会員組合にとっても地域行政、地域産業界、地域の方々と一体となり、また、密接になることによって、電気めっきというすばらしい基盤技術、そして引き継がれた次世代の方々が、電気めっき業に誇りを持って頂く未来を実現するためには、上記の三つの方針を推進し、全鍍連もしっかりと足下を固める組織づくりが重要ではないかと考えています。
 平成27年度には、全鍍連は役員改選が行われます。様々な環境問題や産業のグローバル化、技術の高度化など、電気めっき企業が取り組む課題は山積している中で、これからの成長の波に乗れるか乗れないかは、全鍍連に与えられた重要な課題でもあります。次期執行部に対し、三つの方針を引き継いで頂きたいと願うところです。
 本年も引き続き業界一丸となって諸種課題に真摯に取り組み、事業運営に鋭意努力して参りますので、皆様のお力添えを宜しくお願い致します。
 末筆にはなりますが、皆様におかれましてはこの一年、飛躍の年でありますように祈念申し上げます。本年も本会事業運営に益々のお力添えをお願い致しますとともに、皆様のご多幸を心よりお祈りし、新年のご挨拶とさせていただきます。
全国鍍金工業組合連合会
会長 栗原 敏郎


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