ほう素、ふっ素など暫定排水基準について
(1) 一律排水基準達成のための道筋について
これまで全鍍連環境委員会では、ほう素、ふっ素については一定基準(ほう素:10mg/L、ふっ素:8mg/L)を超過する事業所の数を段階的に減らすこと、窒素等については暫定基準値を段階的に低下することを目指してその数値目標を設定して、毎年行われる暫定基準適用業種を対象にした国のフォローアップ検討会において、これを国にも認めてもらうことにより暫定基準の延長を図ってまいりました。(下記掲載の電気めっき業の暫定排水基準表参照)
ほう素、ふっ素については、一律基準達成に至らないものの、この設定目標を達成する見込みであることから、今後はほう素、ふっ素についても窒素等と同様に暫定排水基準値の段階的切り下げにより一律基準達成を目指すことといたしました。
(2) ほう素、ふっ素等の暫定排水基準の見直しについて
本年6月末で4回目の延長期限が来ることから、国では暫定基準見直しのための検討会を立ち上げております。全鍍連では前述の一律排水基準達成のための道筋に従って、また、これまでの組合員の皆様からの年2回の排水濃度データの集計結果から、達成可能な暫定基準として下記の暫定基準値を国に要望いたしました。
ほう素:40mg/L(河川・湖沼放流)
ふっ素:現行と同一(50m3/日以上:15mg/L、50m3/日未満:50mg/L)
窒素等:300mg/L(公共域放流)
これまでの暫定排水基準値の推移と設定目標及び今回の要望値は次の通りです。
(3) 全鍍連の取り組み
全鍍連では排水濃度問題を最重要課題の一つとして捉えています。
全鍍連では、組合傘下めっき事業所に対し、毎年2回排水濃度調査を実施しており、実態の把握を行うとともに各企業の問題意識の強化を図っております。
更に環境委員会において、各工業組合から環境問題のエキスパートたる環境委員を招集し、一律暫定基準達成に向けて様々な意見・情報交換を行っています。平成21年度には排水処理に関する有効な先進事例を取りまとめた「次世代めっき排水処理」、(追補版)「先進事例・改善事例の紹介」を発刊し、これを全組合員事業所の皆様へ配布致しました。
めっき業界が環境と調和した業界であり続ける為、これからも業界一丸となって解決に当たって参ります。
解説
水質汚濁とは、工場、家庭等から有害物質等が河川、湖沼、海洋等に排出され水質が汚濁することです。水質汚濁は、有害物質による健康被害、有機性汚濁から富栄養化による藻類の異常繁殖及び貧酸素による水生生物の死滅に繋がります。この被害を防止するため、
水質汚濁防止法で工場から公共用水域への排水に「
排水基準」が定められています。
また、下水道への排水も最終的に下水道終末処理場の処理に影響を与えるため、下水道法の「排除基準」を定めました。この排水基準と排除基準はそれぞれ「健康項目」(人の健康保護に関する基準)と「生活環境項目」(生活環境の保全に関する基準)に大別されます。
健康項目において、平成13年にほう素、ふっ素、亜硝酸性窒素等に基準が設定されましたが、電気めっき業は直ちに対応が困難な業種として、暫定排水基準が適用されています。また生活環境項目においては、平成18年に亜鉛に基準(2mg/L)が設定されましたが、電気めっき業は直ちに対応が困難な業種として、暫定排水基準が適用されています。