全国鍍金工業組合連合会(ぜんとれん)

 改正水質汚濁防止法について


(1)法改正の経緯

 水質汚濁防止法は公害防止が主たる目的で、過去に大きな役割を果たしました。
 しかし、近年は地球温暖化やリサイクル等へ重点が置かれ、公害防止への取組が低下しています。
 その結果、一部事業者が水質汚濁防止法の排出基準を超過したり、測定データの改ざん等の法令違反事案が明らかとなりました。また、公共用水域での水質事故が増え、一級河川での水質事故は10年間で約3倍に増加しました。
 このような公害防止管理体制に綻びが生じている状況を踏まえ、環境省では、改正に向けて協議した結果、平成22年5月10日に改正水質汚濁防止法が公布され、平成23年4月1日に施行されました。
 また、平成23年6月23日に改正公布された改正法の施行に伴い、環境省令で定めることとされた有害物質使用特定施設及び有害物質貯蔵指定施設)に係る構造、設備及び使用の方法に関する基準並びに定期点検の方法について規定するとともに、その他の必要な改正について、環境省令が平成24年3月27日に公布され、平成24年6月1日から施行されました。

<環境省>改正水質汚濁防止法http://www.env.go.jp/water/chikasui/brief2012.html

(2)改正水質汚濁防止法の概要

○新たに「指定施設」「指定物質」という概念を導入(第2条4項)
 「指定物質」とは、水濁法で定める有害物質や油以外の物質であっても、公共用水域に多量に排出されることにより人の健康若しくは生活環境に被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるものをいい、現在、ホルムアルデヒド、ニッケル・銅・クロム並び化合物等55物質が定められております。「指定施設」は、有害物質を貯蔵したり使用する施設をいい、「指定物質」を製造し、貯蔵し、使用し、若しくは処理する施設をいいます。

○排水記録に加え記録の保存の義務付け、記録の不備や虚偽の記録に罰則(第14条)
・排出水を排出し、又は特定地下浸透水を浸透させる者は、環境省令で定めるところにより、当該排出水又は特定地下浸透水の汚染状態を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
・総量規制基準が適用されている指定地域内事業場から排出水を排出する者は、環境省令で定めるところにより、当該排出水の汚濁負荷量を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
・第33条では、14条に違反するものは30万円以下の罰金に処する。

○水質汚濁防止法に基づく事故時の措置の対象を追加(第14条の2)
 公共用水域に多量に排出されることにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質を製造等する施設を設置する工場又は事業場の設置者に対し、事故によりこれらの物質を含む水が排出された場合等における応急の措置及び都道府県知事への届出を新たに義務付けました。

○事業者の責務規定の創設(第14条の4)
 事業者は水質汚濁防止法に規定する排出水の排出の規制等に関する措置のほか、事業活動に伴う汚水の排出等への状況を把握し、汚水による公共用水域や地下水の水質汚濁の防止のために必要な措置を講ずるようにしなければならないと規定しました。

(3)土壌汚染対策法

 改正水質汚濁防止法は、地下水汚染の未然防止の観点から、土壌汚染対策法にリンクされる可能性が生じています。土壌汚染対策法についてもここで紹介します。
 土壌汚染対策法は平成14年5月29日に公布され、平成15年2月15日から施行されました。
その後、土壌汚染法にからむ多様な課題・問題点も各方面から提起され、新たに見直しの検討を行い、改正土壌汚染対策法が平成21年4月24日に公布され、平成22年4月1日から施行されました。改正土壌汚染対策法の概要は次の通りです。

○法に基づかない自主的な調査による土壌汚染の発見の増加
→土壌汚染の状況を把握するための制度の拡充を図るため、3000u以上の土地の形質変更時には当該行為の届出が義務化されました。また、届出の結果、汚染のおそれがある土地には都道府県知事から調査命令が出されることになりました。

○汚染土壌対策として過剰な掘削除去の偏重
→旧法では法に基づく調査の結果、土壌汚染が存在することが明らかになった土地を一律に「指定区域」としていました。その結果、指定区域=即時浄化を要する土地、という誤解を招いたため、健康被害の予防の観点から、即時対策が必要な「要措置区域」と、土地の形質を変更する時点でのみ対応が必要な「形質変更時要届出区域」に分類しました。

○汚染土壌の不適切な処理による汚染の拡散
→汚染土壌の搬出は、適正な手続きに則った処理が為されなければ、有害物質が別の場所に移転し、かえって土壌汚染被害を拡大させるおそれがあります。法改正により、適切な浄化施設を認定し、汚染土壌の運搬から処理までを管理票で管理する仕組みが法制化されました。また、適正な処理に違反した者に対する罰則規定も盛り込まれました。

 その後、地下水汚染の未然防止の観点から有害物質の使用又は貯蔵を行う施設の構造等に関する基準の遵守義務等を規定する水質汚濁防止法の一部を改正する法律が平成23年6月14日に成立、平成23年6月22日に公布されました。
 環境省では、土壌汚染の未然防止対策や工場等の操業中から実施可能な土壌汚染対策について事業者等の取組の参考となる「土壌汚染の未然防止等マニュアル」として取りまとめ、公開しました。これはヒューマンエラーによる土壌汚染の未然防止を図るものです。改正水質汚濁防止法の施行によってさらに土壌汚染の未然防止が図られることを期待しています。

<環境省>土壌関係の各種ガイドライン・マニュアルhttp://www.env.go.jp/water/dojo/gl-man.html

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