新年あけましておめでとうございます。お健やかに新年を迎えられたことと、心からお喜び申し上げます。
さて、今年は平成28年、干支は「丙申(ひのえさる、へいしん)」であります。“丙”は「さかん」「あきらか」「つよい」と言う意味があり、活動力が一段と伸長する様を示すそうです。一方“申”は伸びるという同義であるとともに、木の枝の茂りを表す意で、それを整形、成熟することを表すという意味だそうです。
では、丙申″を迎え、当業界と本会が進むべき方向やビジョン、そして、どのような年になるのでしょうか、大いに気になるところであります。
1.経済環境、新たな成長を導く“丙申”
日本の2014年度の実質GDP成長率は−1.0%と5年ぶりのマイナス成長率でした。そして2015年に入ると、1〜3月期のそれは前期比プラスとなりましたが、在庫量が伸び率の大部分を占めたことによるもので、実質的には景気悪化を示し、日本の経済環境は力強さに欠ける年明けとなりました。7〜9月期の実質GDPはプラスに転じましたが、設備投資が大幅に引き上げられたことや在庫量の増加が要因であり、実質的には景気後退の懸念は根強く、受注減が続いている中小企業にとっては大変厳しい年であったといえます。
一方、グローバル経済においては、従来の勢力と新しい勢力とが衝突する“潮目”が変わったものと思われます。経済が好調で一人勝ちの米国、米国への輸出拡大等を恩恵とし成長を続けているメキシコ、その一方、欧州は好不況国の格差が拡大し、また、難民引き受け等の諸種課題が山積する中で、さらなる金融緩和も想定されています。さらに新興国の景気も減速傾向にあり、中国では少子高齢化の進行がじわじわと重石になり、ロシアやブラジル等は資源安等の影響を受け、急激な景気後退に突入したと言われています。
こうした環境下で日本の最大の景気下振れリスクは輸出です。中国を中心とした新興国、資源国の景気減速の動きが強まり、輸出が減速傾向に転じれば、横ばい圏、景気悪化の動きが長期化するような懸念も生じるかと思います。
このような景気減速感、“潮目”の変化に於いて、あえて積極果敢に挑戦することで、新たな成長を導いてゆくのが“丙申”の年と考えます。前回の“丙申”は60年前の1956年でした。この年は「もはや戦後ではない」というように日本経済の戦後の復興期は終わったとの判断が示され、日本の国連加盟が実現し、技術革新の幕開けとも言われています。従って、本会にとっての今年は“丙申”にあやかり、業界の次の世代に対して何を残すべきかを検討しその礎を築く年とするには良い年ではないかと思います。
2.会員組合、組合員の皆さんとの信頼関係の構築、絆の強化
2015年の経済環境は大変厳しく、また、先の見通しが立ちづらい年でしたが、2016年はさらに取り巻く環境の変化や動きというものに如何に対応し、前進するかということと同時に、多事多難が予想される大きな変革期ととらえています。
如何に時代の趨勢を見極め、めさきの事に囚われずに将来をきっちりと見通した上で、誰が何を求めているのか、臨機応変に正しい判断と責任ある行動が求められる年となる事が予想されます。そのためには「隗より始めよ」という言葉が示すとおり、できることから始めたいと思います。
一つは、様々な環境問題の変化に向き合い、電気めっき業を維持することにあります。ほう素、ふっ素、亜鉛等の暫定排出基準の延長を国に要請し、電気めっき企業が事業維持できるよう対応して行きます。また、働く従業員の方々の労働環境の法令を遵守し、「人づくり」に努めることです。
二つめは、技術・技能の高度化を図る事です。一例として、四半世紀もの長い間続いているめっき技術コンクールの存在価値の変化を見極め、新たな目標と価値の向上等について検討を行いたいと考えています。
他にも対応すべき課題が山積していますが、こうした事業やビジョン、考え方、方向性を通じて、本会と当業界に関連する皆様との共有化と信頼関係を構築できれば、業界の絆が築き上げられるものだと思っています。その結果、関係省庁、取引先やビジネスパートナーの方々から、唯一無二の存在として信頼と敬意を集められる団体となり、ひいては、次世代の方々にも、電気めっき業に誇りを持っていただけるものと確信します。
3.最後に
私は会長就任以来、出来るだけ多くの事業に参加しました。そして皆様から生の声を聴き、それを今後の事業戦略にどう反映させるかということを心がけてきました。出会った方々の意見を尊重し、考え方などの共有を行いつつ、今年もこうした活動を続けてまいります。
最後になりますが、会員組合、組合員の皆様には、一人ひとりが心身ともに健全な状態で生業にお励みになれますように、そして、経営者、従業員の皆さんとご家族にとり、健康で実り多い年となる事を祈念し、新年のご挨拶といたします。