令和2年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
まず、昨年発生した大型台風や豪雨などにより、多くの組合員企業が被災されました。被災された方々に心より御見舞いを申し上げます。
さて、昨年の景気を振り返りますと、英国のEU離脱問題や米中の貿易戦争の激化、日韓関係の冷え込みにより、国際情勢がますます混迷を深めました。全鍍連景況調査によると、直近のデータでは、昨年同時期に比べ「悪化」と回答した企業が半数以上を占めており、3年前(平成28年)の景気水準まで後退しています。
昨年10月からスタートした消費増税による景気減速を危惧する声も聞かれておりますし、GDP実質成長率は1%以下に終わりました。
その一方で、今年開催される東京オリンピックと連動した景気浮揚を期待する声も高く、政府も国内外の下振れリスク対策のため、事業規模26兆円の経済対策を12月の臨時閣議で決定し、中小や小規模事業者の生産性を高める支援策を打ち出すなど、明るい話題もあります。
本会と致しましても、大局を見失うことなく社会や経済の趨勢を注視しつつ、今年も全鍍連傘下の全事業所が如何なる経営環境においても飛躍できるよう時宜に即した事業を実施していきたいと考えております。
さて、全鍍連では昨年11月に開催した全国大会にて、「継続と変革」をテーマに掲げました。@70年以上にわたり諸先輩から脈々と受け継がれてきた業界の伝統と誇りを継続していくこと。A企業間同士・組合間同士の絆をさらに強固にさせ、全鍍連というネットワークを「財産」として、次世代へ継承させていくこと。B環境規制をはじめとした法規制を引き続き順守徹底し、めっき業界への信頼をより一層高めていくこと。C海外展示会への挑戦や、新たな業界独自の保険制度の設計など、未知なる事業へも果敢に挑戦していくこと、以上4つの方針の下、様々な事業活動を展開して参りたいと思います。
こうした中で、今年は5年ぶりとなる工場総覧(2020年版)を発刊したいと思います。各組合員企業の皆様の情報を電子データにて一元的に集約し、会員名簿として広く皆さまに活用して頂けるように考えております。昨年はホームページ内に組合員限定の専用サイトを開設し、統計情報やこれまでに発刊した報告書などが閲覧できる環境を整備し、おかげさまで多くの皆様にご活用いただいております。今年もインターネットを活用した情報発信を一層強化し、皆様の企業経営のお役に立てるよう、努力して参りたいと思っております。
昨年5月に新しい時代「令和」が幕を開けました。「厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたい」(総理大臣談話)との期待が込められています。
めっき技術は、日本の幅広い基幹産業を支える基盤技術であり、めっき事業者が消えると有形・無形の資産が消失し、様々な分野のサプライチェーンに支障が生じます。また、全国のめっき事業者は各地の雇用も創出しており、地域が生み出す付加価値に寄与することで日本の経済を支えています。
我々もめっき業界の力で、日本のものづくり産業を活性化させ、希望に満ち溢れた一年を過ごしてまいりたいと思っております。
最後に、今年も経済産業省、厚生労働省をはじめ表面技術協会・日本表面処理機材工業会・賛助会員企業の皆様方のご支援をお願いし、そして工業組合、組合員事業所の皆様のご協力を得て、全組合員めっき事業所の繁栄と発展を実現して参りたいと思います。
皆様のご多幸を心よりお祈りし、新年のご挨拶とさせて頂きます。
全国鍍金工業組合連合会
会長 山田 登三雄