令和7年新年あけましておめでとうございます。
昨年は元日の能登地震にはじまり各地で集中豪雨そして猛暑が秋まで続くという異常気象に振り回された一年でした。
何十年に一度、何百年に一度という災害報道を何度も何度も聞かされ、この言葉が意味をなさなくなってきました。今後夏は更に暑く冬は平野部でも大雪になると言われています。もはや異常ではなくこれが通常ということでしょう。
現在東京の世帯人口は1400万人、いわゆる都内区部で1000万人、就業労働者を含めると1700万人にもなると言われています。あらゆる文化、モノ、人が集中し世界屈指の大都会となっています。確かにあらゆる物が溢れ最新の流行に触れることができる素晴らしい都市で日本中の若者が憧れ東京へ東京へと集まっています。
ところがその東京に直下地震が起こるとどうなるでしょう。高層ビルのエレベーターは全停止、更に湾岸埋立地の液状化現象や標高の低い地域、河川周りでは津波の浸水が襲う。そうでなくても集中豪雨で短時間に狭い地域に大量の雨が降れば地下街、地下鉄は水没します。
たとえば富士山が噴火して北西風にのって火山灰が都心部に降ったらどうなるでしょう。電線に灰が積もり電車も停止、雨でも降れば道路は積雪よりひどい状況になるでしょう。交通網は混乱、地震と同様停電が続き通信網も遮断され生活どころではなくなります。
そのような状況を考えると一番危惧されるのは行政の集中です。国会はじめ各省庁、行政機関が都内に集中しています。上記のような災害に襲われればひとたまりもありません。そうなると東京の問題ではなく国の運営、維持の大問題です。東アジアにおける平和と安全の視点からも我が国にとっては最優先問題でさえあります。
私どもはトラブルがあっても少しでもお客様、製造ラインを停止させてはいけないということでBCPを推進していますが指導にあたっている行政こそ、その考えにのっとるべきです。特に東海、東南海地震と首都直下が同時におきれば近隣からの援助、救助は不可能です。静岡、愛知、大阪といった都市も被災し他県の救助どころではありません。確かに平和でなにもなければ何でも揃い、賑やかな街は魅力ですが雪が1センチ積もっただけで大騒ぎになり電車が事故で止まれば帰宅難民になるという災害に非常に弱い都市であることは周知の事実です。
アメリカ合衆国のワシントンD.Cとニューヨーク、オーストラリアのキャンベラとシドニー、ロシアのモスクワとサンクトペテルブルク等、国としてリスク分散し商業文化地区と行政を分離している国が存在しています。一日も早く行政機関の移動分散を検討ではなく開始してほしいと思います。
穏やかに迎えられた年初から全く明るくない話題にしてしまいましたが今一番危惧している問題としてあえて提起させていただきます。くれぐれも大災害が起きませんよう祈念して新年の挨拶とさせていただきます。
全国鍍金工業組合連合会
会長 神谷 篤