■ほう素、ふっ素等の暫定排水基準
平成13年に、環境基本法環境基準(健康項目)における、ほう素、ふっ素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の排水基準規制値が設定されました。
全鍍連では直ちに対応が困難なことから、国から暫定基準適用業種として認定され、
現在も暫定基準適用業種を対象にした国のフォローアップ検討会を通じて、
暫定基準延長の要望しております。
※
なお、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については、平成28年7月1日より一般排水基準に移行致しました。
■六価クロムの暫定排水基準
令和6年に、環境基本法環境基準(健康項目)における、六価クロム排水基準規制値が0.5mg/Lから0.2mg/Lに引き下げられました。
全鍍連では直ちに対応が困難なことから、国から暫定基準適用業種として認定され、
現在も暫定基準適用業種を対象にした国のフォローアップ検討会を通じて、暫定基準延長の要望しております。
■亜鉛の暫定排水基準
亜鉛については、環境基本法環境基準(生活環境項目)として以前5mg/lが設定されていましたが、平成18年12月に環境省は水生生物保全の観点からこの5mg/lの排水基準を2mg/lに改定されました(※)。
全鍍連では直ちに対応が困難なことから、国から暫定基準適用業種として認定され、
現在も暫定基準適用業種を対象にした国のフォローアップ検討会を通じて、
暫定基準延長の要望しております。
■全鍍連の取り組み
説明会
全鍍連では排水濃度問題を最重要課題の一つとして捉えています。
全鍍連では、組合傘下めっき事業所に対し、毎年2回排水濃度調査を実施しており、実態の把握を行うとともに各企業の問題意識の強化を図っております。更に環境委員会において、各工業組合から環境問題のエキスパートたる環境委員を招集し、一律暫定基準達成に向けて様々な意見・情報交換を行っています。平成21年度には排水処理に関する有効な先進事例を取りまとめた「次世代めっき排水処理」、(追補版)「先進事例・改善事例の紹介」を発刊し、これを全組合員事業所の皆様へ配布致しました。
めっき業界が環境と調和した業界であり続ける為、これからも業界一丸となって解決に当たって参ります。
■一般排水基準への移行が困難な主な理由
・ 亜鉛めっきでは、全工程が亜鉛(キレート含有)の排出源となっており、排水負荷が高い。
・ 高耐食性要求に伴う合金めっきの増加、強いキレート成分含有しているが、キレートの分解技術が十分に確立されておらず、処理が難しい。
・ 全量ろ過は必須、装置が高額。設置スペース等の問題。
■解説
水質汚濁とは、工場、家庭等から有害物質等が河川、湖沼、海洋等に排出され水質が汚濁することです。水質汚濁は、有害物質による健康被害、有機性汚濁から富栄養化による藻類の異常繁殖及び貧酸素による水生生物の死滅に繋がります。この被害を防止するため、
水質汚濁防止法で工場から公共用水域への排水に「
排水基準」が定められています。
また、下水道への排水も最終的に下水道終末処理場の処理に影響を与えるため、下水道法の「排除基準」を定めました。この排水基準と排除基準はそれぞれ「健康項目」(人の健康保護に関する基準)と「生活環境項目」(生活環境の保全に関する基準)に大別されます。
健康項目において、平成13年にほう素、ふっ素、亜硝酸性窒素等に基準が設定されましたが、電気めっき業は直ちに対応が困難な業種として、暫定排水基準が適用されています。また生活環境項目においては、平成18年に亜鉛に基準(2mg/L)が設定されましたが、電気めっき業は直ちに対応が困難な業種として、暫定排水基準が適用されています。