全国鍍金工業組合連合会(ぜんとれん)

愛知県鍍金工業組合

1.基本データ

理事長神谷  篤
事業所数105社 (令和6年4月1日現在)
公式website 愛知県鍍金工業組合ホームページ
住所〒456-0058 愛知県名古屋市熱田区六番3-4-41 名古屋市工業研究所内
電話052-659-6112
FAX052-659-6113
青年部組織あり(名鍍会)

2.沿革

大正初期に発祥
 愛知県で最も古く「鍍金」企業が登場するのは、明治42年に刊行された「名古屋商工人名録」(名古屋商業会議所編)で、橘田覚太郎氏の名前が記されている。橘田覚太郎氏は大正12年に刊行された「大日本之化学工業」にも詳しく紹介されており、欧米のニッケルめっきを有望視してその技術を研究し、改良工夫を凝らしニッケルめっき業者として第一人者となり、名古屋鍍金組合の組織化にも貢献したことが記されている。この橘田覚太郎氏が大正初年頃に組織した名古屋鍍金業組合は、自然衰退となってしまったようで、その空白期間の組合に関する資料はない。その後、昭和6年5月、名古屋市公会堂に60余人の工場主を集めて「名古屋鍍金業組合」の創立総会が開かれ、今日の「愛知県鍍金工業組合」にまで発展を遂げた。

戦中の組合の動き
 満州事変を契機として社会情勢は一変し、軍国主義への時代へと突入する。そんな昭和12年10月、名古屋鍍金業組合は新たに制定された工業組合法に基づき、準則組合としての「名古屋鍍金業組合」に改組し、愛知県の他、三重県、静岡県(浜松地区)、岐阜県のめっき企業も加入した。さらに昭和14年6月、工業組合法に基づく名古屋鍍金工業組合を設立した後、昭和16年8月に物資統制令が施行され、名古屋鍍金工業組合は昭和17年4月、愛知県鍍金工業組合に改組された。やがて、第二次世界大戦が激化するに伴い、多くの工業組合が続々と統制組合に改組していき、昭和19年8月、中部鍍金工業統制組合に改組された。

戦後の動き
 昭和22年3月、協同組合法に基づいて新たに「中部鍍金工業協同組合」が設立され、同年5月、統制組合は解散した。この組合には、静岡、岐阜両県のめっき企業が加入していたが、組合設立後の約半年後、同22年11月に開催された臨時総会で、両県の業者がそれぞれ自県の組合設立のために退会し、その結果、中部鍍金工業協同組合は愛知県と三重県の組合員によって構成されることになった。
 戦後は主要原材料のニッケルは統制品として割当制が採られており、昭和26年にニッケル等使用制限規則が公布された。このニッケル使用制限規則に伴い、ニッケル代用めっきの開発が進み、中部鍍金工業協同組合でも県の助成を受けて三元合金めっき技術の実用化に関する研究を推し進めた。その後、昭和27年4月、国際的供給不足物資等の需給調整法が施行され、さらにニッケル精錬助成法によって国内精錬各社の生産体制も整いはじめ、12月にはニッケル等使用制限規則の施行停止に関する省令が告示され、ニッケル危機は解決されるに至った。
 このニッケル等使用制限規則の解除以来、組合はニッケルの共同購入事業に取り組むことになった。
 昭和30年代になると、資材の共同購入事業のほか、中部地区めっきコンクールの開催、最低賃金実態調査報告、下請代金支払遅延防止法に関する実態調査、中小企業業種別振興臨時措置法施行に伴うめっき業種指定による実態調査などを実施した。

工業組合への改組
 昭和41年頃より、中小企業近代化促進法や中小企業近代化資金助成法等の一連の助成策が講じられるようになって税制、金融面での支援措置も整備されてきたことに伴い、組合を県単位での商工組合法に基づいた法人組織に改組する必要性が生じ、中部組合を愛知、三重に分離する動きが具体化してきた。そこで、昭和42年5月、中部支部の定時総会で中部組合を愛知県鍍金工業組合と三重県鍍金工業組合とに分離する案が承認された。さらに、同42年11月の臨時総会で工業組合としての定款が承認され、同年12月1日付けで名古屋通産局より愛知県鍍金工業組合として認可され、現在に至っている。

3.組合事業

(1)組合会館の建設
 昭和24年7月には中部鍍金会館が竣工されており、その後、中部鍍金技術者養成所の開所によって改造工事を行った後、昭和42年8月、名古屋市中川区丸米町に移築した。

(2)組合事務局の移転及び技能検定施設の常設
 令和2年4月、組合会館の老朽化に伴い、事務局を研修や技能検定等で組合と緊密に連携している名古屋市工業研究所内へ移転するとともに、技能検定施設の常設に取り組み、令和2年12月に完成した。

(3)めっき技術高度化への取り組み
 戦後間もなく、昭和23年11月に鍍金技術研究会を結成し、毎月工場見学会や講習会を開催し、この当時から、若手経営者の育成、技術者の養成が活発に行われていた。昭和25年には中小企業庁の主催により、全国電気めっき技術コンクールが行われ、中部地区では愛知県と名古屋市の主催、中部鍍金工業協同組合の協賛、名古屋通産局の後援により、中部電気鍍金技術コンクールとして開催された。その後、組合会館の共同施設を改造して、昭和32年3月、「中部鍍金技術者養成所」を開所し、組合員事業所の技術レベルの向上はもとより中堅管理者の育成にも大きな役割を果たした。平成17年度より、名古屋市工業研究所との共同事業で、めっき人材育成に取り組み、数ヶ月のカリキュラムを組んで、めっき講座及び実技等を行っている。
 昭和58年には、愛知組合の企画・編纂・制作による「電気めっきガイド」が全鍍連との協力により発行された。このガイドは、めっきの発注先の設計担当者や製品開発担当者、工業製品デザイナーなどに電気めっきの知識を提供し、製品開発上、適切なめっき加工を施すための資料として活用してもらうこと、さらにはめっき業およびめっき発注企業の社員教育用に利用してもらうことを目的に作成されたもので、めっきのPRガイドとして全国各地区のめっき業界企業で広く利用されるところとなった。これを契機に愛知組合では、めっきのPR活動を含めた需要喚起のための運動に継続的に取り組み、平成16年4月に、金めっき装置を名古屋市科学館に寄贈し、小学生を対象とした金めっきの実演を行ってきたが、平成19年度からはこの装置を無人運転化にし、見学者の操作と音声による動作説明によって見学者に分るような方式に切替えた。現在は、平成23年3月に同科学館がリニューアルオープンしたことに伴い、色々なめっきの見本プレートやめっき製品、めっきの紹介VTRを「金属コーナー」に展示し、広くめっきのPR活動に努めている。
 なお、めっきガイドは数回にわたり改定がなされ、現在は2006年度版が発刊されている。
 近年では、産・学・官の協力体制で、愛知県中小企業技術高度化対策事業補助金制度および地域コンソーシアム研究開発事業等を積極的に活用し、技術高度化事業として、電気めっきの高速化および同期化システムの開発や、また平成18年より3年間に亘って、中小企業ものづくり法により、戦略的基盤技術高度化支援事業で次世代防錆めっきシステム開発、事業母体としてサポイン事業推進委員会を立ち上げ、事業化に向け取り組んだ。さらに、平成21・22年度において、名古屋市工業研究所と共同研究により、「チタン上へのめっき技術の開発」に取り組み、平成23・24・25年度は、「炭素繊維強化プラスチックへの装飾めっき技術の開発」、平成26・27・28年度は、「放射光を利用しためっきの高度構造解析」、平成29・30年度は、「すず合金めっきによる高機能化めっき技術の開発」、令和元・2・3年度は、「亜鉛−ニッケル合金めっきの物性評価」に取り組み、成果を挙げている。令和4年度からは、新たに「アルミ合金への新規めっき技術の開発」に取り組んでいる。

(4)電気めっき技能検定の実施
 職業能力開発促進法に基づき、定期技能検定の実技試験を受託して毎年実施している。業務は毎年役員が中心となり実施しているが、平成21年度からは各支部の技術委員、令和4年度からは賛助会員も技能検定補佐員として活用、若手後継者の輩出、人材育成に取り組んでいる。常設した技能検定施設を活用し、令和3年度からは、技能実習生のための随時技能検定試験を通年で実施している。

(5)業界対応専門研修の実施
 平成17年度より組合員企業の従業員等を対象に、業界や企業に特有の専門技術開発力を備え、モノづくり基盤技術産業を担う意欲ある技術者の育成に取り組んでいる。

(6)めっき初心者技術研修の実施
 平成25年度から新入社員並びにこれと同等な者を対象に、前半では座学によるめっきの基礎的知識の習得、後半では基礎知識を修得した後の現場経験を踏まえ、疑問点や問題点について議論し、めっきの知識を深めることに取り組んでいる。

(7)IT化の推進
 多様化する生産化活動に伴い、WEBによる受発注システム(マッチングシステム)の再構築による新たな販路開拓・利用拡大につとめている。

(8)めめっき業界のPR活動
 月1回組合広報誌の発行に加え、平成22年度からは、より若者等に当業界を知ってもらうために「日本のものづくりを支えるめっきの底力」と題するDVDを、広く学校、官公庁、研究機関等へ配布してPR活動に努めている。

(9)「名鍍会」の発足と活動
 中部鍍金技術者養成所の講習会をきっかけに、中部組合では二世会の結成にも取り組みをはじめ、昭和34年1月、有志12名が集って発起人会が開かれた。ここで、会則等を決め、会の名称を「名鍍会」とすることとし、同年3月、名鍍会の発会式が挙行された。
 名鍍会のメンバーは若手二世で構成され、親睦と研鑽を目的に活動を開始したが、その後、大阪の鍍友会、東京の十日会とともに、昭和36年6月、日本鍍金協会の結成に参加した。
 名鍍会が中心となり組合員に呼びかけ、平成16年度にISO14000のグループ取得、17年度にはISO9000のグループ取得、18年度にはグループの枠をはずして14000と9000を取得した会社がそれぞれにISOの統合審査を取得したが、当時同業者だけでの取り組みとしては全国的にも珍しいこととして話題になった。

4.組織概要 

○役員数:
理事長1名 副理事長4名 専務理事1名 顧問理事1名 常任理事10名 理事9名 監事2名 
合計28名

○事 業:
@「組合報」の発行、各種情報・資料の収集提供
A中小企業人材確保事業の成果定着の推進
Bものづくり分野の人材育成確保事業の推進
C「めっき業ビジョン2012」をもとに、次世代経営者等が自ら考え、自ら実践する指針、事業計画の策定、見直しの推進
D東海・北陸ブロック会議の参加・開催
E従業員親善ボウリング大会の実施
F組合親睦ゴルフ大会の実施
G景気動向調査及び組合員の意識調査
H新たな環境規制に対応する環境整備、有害物質排出に係る自主管理の指導
I名古屋市上下水道局との意見交換会の開催
J電気めっき技能検定講習会並びに技能検定試験の実施開催
K名古屋市科学館の展示品を通じためっきのPR活動
Lめっき技術の業界対応専門研修の開催
Mめっき初心者技術研修の開催
N組合員はもとより地域間・工業団地間、企業間に係る地震等自然災害対策の推進や事業継続計画(BCP)の作成普及啓発
O名古屋市工業研究所とのものづくり共同研究開発
P各種講習会、研修会、研究会の開催
Q関係行政機関及び関係諸団体との連絡調整

○青年部:名鍍会 会員数54社


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